Polygon の POL トークノミクスを分析する
Polygon の MATIC から POL への移行では、1 つのステークで多数のチェーンを保護できる「ハイパープロダクティブ」なトークンが導入されます。新しい経済圏の 10 年間をシミュレーションしました。
Polygon は「インターネットの価値レイヤー」として自らを再定義するなかで、MATIC から POL への移行を進めています。その目玉が、ハイパープロダクティブなトークンという考え方です。POL の保有者は 1 つのチェーンを保護するためにステーキングするのではなく、多数のチェーンを同時に検証でき、それぞれに独自の役割と報酬があります。1 つのトークンに求められる役割が大きく変わるため、10 年間の期間でモデル化しました。
新しいトークンモデル
- 初期供給量は 100 億 POL。
- 10 年間にわたり、年 1% をバリデーター報酬に、年 1% をエコシステム支援にエミッション。
- バリデーターは基本報酬に加え、保護するすべてのチェーンの取引手数料と、POL、ステーブルコイン、ネイティブトークンで支払われるチェーン固有のインセンティブを受け取る。
- ステーカー向けの目標利回りは約 5% APY。
経済を動かすのは誰か
シミュレーションでは、供給量を 4 種類の行動エージェントに割り振り、それぞれが自身のインセンティブに基づいて行動します:
- 財団/トレジャリー(約 9%):年間約 $75M の運営支出。
- ステーカー(約 38%):約 5% の利回りを求めて売買する。
- マーケットメーカー(約 10%):流動性を提供する。
- 保有者(約 43%):保有し続けると仮定。これはモデルで最も楽観的な前提です。
セキュリティの対価を払う 4 つの方法
4 つの報酬ポリシーを比較しました。報酬を一切支払わない場合、トークンを支えるのは手数料と基本エミッションだけなので、価値は最も低くなります(約 $0.25)。APY を固定すると利回りは守られますが、新たなステーカーの参入意欲をそぎます。ステーブルコインで報酬を支払う方法は最も安価ですが、トレジャリーの余力を圧迫します。POL で支払う方法(現実に最も採用されそうなポリシー)は利回りを維持できますが、継続的な売り圧力が加わり、それを成長で吸収しなければなりません。
10 年後の予測
普及度が低・中・高のいずれの場合も、10 年目の POL は $1.31〜$9.51 の範囲に収まります。中位のケースでは約 $5、時価総額は約 $60B となり、10 年目の終わりには手数料収入が月 $100M 近くに達し、バリデーターの利益率も運営コストを十分に上回ります。中程度の普及であればトレジャリーは底堅く推移しますが、適切なインセンティブのない悲観的なシナリオでは、約 56 か月で準備金が尽きる可能性があります。
POL の経済設計が成り立つのは、普及が実現した場合に限られます。決定的な変数はエミッションのスケジュールではなく、ステーカーの売り圧力と新規参入者の安定した流入とのバランスを取る仕組みがあるかどうかです。